借用書の使い方
ところで、借用書を使う場面とは、いったいどんな状況なのでしょうか?
さまざまに想像できそうですが実は至ってシンプルで、借用書が必要になる場面は2回しかありません。
借主が否認してきたとき
つまり、借りている側が「知らん」と言ってとぼけている場合です。
勘違いも稀にあるようですが、ほとんどは身内や知人など、借主当人の周囲にいる人に対して債務履行請求が正当であることを主張するために用います。
法的措置をとる際の証明資料
裁判に訴える場合に「請求の原因」を訊ねられます。
もちろんカネを返してもらっていないからですが、その証拠となるものが借用書です。裁判は申立書に書く債権明細を基に処理がすすめられるので、借用書は申立書を書く瞬間だけ必要になります。
・・・・・・なんとなく見てほくそえむ以外に借用書はこの2場面しか出番はないわけです。
具体的な使い方
借主否認においてはご想像のとおりです。
- 貸 : おらぁカネ払わんかい~
- 借身内: ウチの人が借金しているんですか!
- 借本人: ワシは知らんよ・・・
- 貸 : ここに証文があるんじゃ!
- 借本人: ・・・・・・
- 借身内: アナタ・・なんてコトを・・!
・・・ってな感じですので説明は不要でしょう。
気になるのは法的措置、即ち裁判に訴える場合です。
これを基に裁判所へ願い出るときは、支払督促という申立を行ないます。先に作成した借用書を添付書類として提出すればいいことからも、借用書には妙な文言を書き込まないほうが良いです。
つまり借用書は、金銭貸借が事実であるか否かの判定材料として使います。
しかしです・・・・・
小学生でもわかる借金裁判の顛末
- 貸主 : オイコラ、カネ返せよな(怒)
- 借主 : う~ん、だって、パチンコでスッっちゃったのでカネはないのよ♪
- 貸主 : (このクソボケが・・) 訴えてやるっ!!
そこで訴えてみる
- 貸主 : お金返してもらえんッスよ・・・
- 裁判所: ホントに貸したの?
- 貸主 : 借用書あるッス♪
- 裁判所: あ~ホントだ。貸したんだねー
- 貸主 : でしょ!
- 裁判所: うん、キミが正しい
- 貸主 : ・・・他に何かないの?
- 裁判所: そうか、では借主クン、借りたカネはキチンと返さなきゃダメよ
- 借主 : へ~い なるべく前向きに検討してみますワ♪
- 裁判所: これにて一件落着!
- 貸主 : ・・・終わりなの?
- 裁判所: だって、前向きに検討するって言ってたじゃない
- 貸主 : ・・・獲ってくれないの??
- 裁判所: 何で??
- 貸主 : ・・・・・・
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つまり、お金を回収したいなら間違っても裁判には訴えない
借用書がないと困るケース
借用書がないと困ることも確かにあります。
つまり先の例でいうところで、「借用書がない」となったとき、借主が、『しめしめ、借りてないことにしてバックレよう』なんて思われると貸借の事実が否定されてしまいます。法的には書類がなくても契約は成立するので借用書がなくても有効ですが、それはあくまで当事者同士が認めている場合に限ります。
つまり法的に有効かどうかではなく、認めなければ返さなくていいことがまかりとおることが問題です。
既に一般論が通用しない世界に入っていますね。
この時点でアタマに入れておくことは、証拠がない理由で否認する相手からは証拠があったとしても回収は難しいということです。
皆さんの予想とはたぶん違いますよね?
皆さんの予想、つまり、「証拠があれば貸した事実を否定されない」ということが役立つケースは次の3つくらいしかありません。
- 法的な債務整理などの申請をしてきたとき
- 身内や関係者が貸主に敵対しているとき (回収の妨害など)
- 第三者から弁済を受けるとき
ちなみに「給料を差し押さえるとき」は含まれません。だって、個人間の借金をトボケルような人は給差の手続きしたら会社辞めちゃいますからね。
念のため書いておくのですが、こういう状況になったときも借用書があればスムーズに回収できるわけではありません。
借用書があれば回収行為を継続できる、ということなのでお間違えなきように・・