パチンコ依存症・30兆円産業が生んだ副産物
※以下、「パチンコ・パチスロ」は「パチンコ」で統一します。「パチンコ機」ではなく「パチンコ機」を特定して指す場合は「ぱちんこ」というように平仮名表記しています。
最近のパチスロでは有名人のお名前やアニメキャラクターが数多く使われています。
名前を貸す側にしてみれば、版権料はもらえるわタダで宣伝してもらえるわで嬉しい限りかもしれません。実際、北斗の拳なんてのはパチンコがキッカケで息を吹き返したといっても過言ではないでしょうし、エヴァンゲリオンの楽曲版権収益はパチンコによる部分が大です。
ということに関係してるかどうかは謎ですが、今やパチ業界は年間30兆円の巨大市場(※1)となっており、いかにギャンブルと金貸しは不景気に強いかを物語っています。
さて、これらのキャラを使用するにあたっての版権料はいかほどか?・・・ではなく、このページのテーマはパチ依存(=パチンコ依存症)です。
注釈
- 2009年で30兆円を割り込んだようです。
パチンコ・パチスロファンの皆様へ
ここは「パチンカー・パチスロッターは依存症である!」なんてことを書いているページではありません。
もしもアナタやアナタの大切な人がこのページで書いてる依存症に合致するなら、怒らず騒がず真剣に対策を考えてあげましょうね、ということを書いています。
依存性
爆裂的に儲かるから
という理由もありますが、投資資金に対する見返りは競馬に比べると非常に小さいといえます。(競馬では¥1000が50万100万は茶飯事) 例外的なものを除けば15万程度が大当たりの限界値です。
ですがパチンコには他のギャンブルと大きく違う点が4つほどあります。
- いつでもできる
- どこでもできる
- 手軽にできる
- 考えなくてもできる
ここが問題であり、「いつでも」「どこでも」「手軽に」「考えなくても」、という行為で10万20万のカネが手に入ったら、そりゃぁ誰だって癖になります。この状態でクセにならないなんてのは高額納税者並に裕福としか考えられません。
現金を賭ける娯楽そのものを否定しませんし、僕も好きなほうです。
しかし少なくとも、儲けるつもりでやる行為を娯楽とはいいません。
パチンコ屋さんは基本的には「大衆娯楽場」です。このタテマエがあるので景品交換所には生活雑貨や食料品が置いてあります。
「当たりハズレ」を愉しむものは娯楽ですが、「勝ち負け」にこだわるものは勝負事であって娯楽とは違います。
努力せず気軽に得ようし、適度に当たるので儲かった気分になる・・・・
パチンコに限らず依存性のある物事に共通する内容です。
ちなみに「高速のタテ回転」も依存性を高める要素として指摘する精神科医の先生もいらっしゃいます。今どきのパチンコやスロットは皆々タテ回転・・・まぁ、海物語は違いますが・・
射幸性(射幸心)と自制・抑制
パチンコは1回の当りで3~4万円程度は普通に見込めます。これが2回3回と続けば10万円以上を一気に得ることが可能です。(※)
注釈
一応、景品の上限は1万円で、「1回」の当たりでこれを超えてはいけないという規定があるようです。これについて現行(2010年時点)のぱちんこ(の確率変動)が違法であるという国賠訴訟がおこっています。
でもまぁ、実際のところこれは違法性追及ではなく規制緩和(上限撤廃)が目的のような・・・・
運が良かったとかではなく、そういう出かたをするように組んであるのでパチ屋の中では極めて普通な光景です。それを傍から見たり自分が体験すると、「1回当たれば4~5万は取り戻せる」ということをカラダが覚えてしまいます。
これが射幸性です。
逆にいうと、1万2万呑まれたところで1回あたれば十分にとりもどせる
さらにいうと、1万2万程度で当たるものではない
もっというと、5万までは負けても1回あたれば取り返せる
確かにそうには違いないですが、勝負事としてキチンと捉えている人はこういう事を「やる前」には考えますが、負けてるときはもちろん「やっているとき」にも考えません。
それにです。
今どきのパチンコが5万10万出るのはは、5万10万負けるのも普通だからです。
出玉率
パチスロ(=回胴式遊技機)には「出玉率」という規則(規制)があります。延々と稼動させた際に払い出す比率であり、概ね95~110%くらいになるように店側で任意設定できるようになっています その範囲の中で短期的な「浮き沈み」が発生しますが、そのときに浮けば勝ち、沈めば負けというのがパチンコというギャンブルの正体です。(ぱちんこは一律固定確率なのでスイッチ操作ではなく釘の間隔と筐体の設置角度で調整する)
つまり、「マイナス5%」の設定になっている機械を延々とやり続けると、短期的な浮き沈みを経て最終的には「機械の確率どおり」に5%負けます。たとえば仮に1周期1000万だとすれば、最終的には50万マイナスとなるわけです。
ちなみに1000万円という金額は、持ち玉の再投入を含めると週2~3回通えばものの3ヶ月程度で到達してしまいます。
病的になるステップ
いくらパチンコが射幸心を煽るとしても、誰しもが依存症になるとは限りません。
例えば、ですが、毎月100万くらい負けてもその人が娯楽に使えるお金が200万300万あれば依存症にはならないと思います。
つまり、金額に関係なく娯楽の範疇にあれば病的にハマることはないと断言できます。
病的にハマる人の条件
- パチンコが日常生活に組み込まれている
- 食事代などをパチンコのために削る
- 借金でパチンコをする
他にもあるかもしれませんが、知りうる限りのパチ依存者は上記3項目を全て満たしています。
でもって、以下のような順序でハマっていくと思われます。
【STEP1】 日常生活への組み込み
平日の生活習慣にパチ屋通いが組み込まれます。
サラリーマンなどは主に会社帰りでしょうが、変則勤務や外回りの人は日中の空き時間に定期訪問先のごとく決まった時間にパチ通いをするようになります。
このあたりで微勝ち微負けを繰り返しながらゆるやかに負けを蓄積していきます。
まぁ、このあたりはサボり先がパチ屋なのか図書館なのかの違い程度ですね。
【STEP2】 微勝ちと微負けの繰り返し
パチ屋通いを繰り返しているうちに、微勝ち微負けの単位がしだいに大きくなってきます。
¥3,000、¥5,000の勝ち負けならば翌日に影響しませんが、これが万単位になると日常生活に支障がでてきます。すると収入のうち、必要最低限の金額を除いた残り全てをパチンコにつぎ込みだします。もちろん段階があり、最初は昼食費を削ることからはじまり最終的には水道光熱費にまで及びます。
モノがパチ機なので狂っていると思いますが、他の趣味でも同じようなお金の使い方をする人もいるようなので、この段階では行過ぎた趣味という解釈もできなくもありません。
【STEP3】 瞬間的に儲かる
おそらくですが、病的な人の大半は一度は10万単位の大勝ちをしていると思われます。
これによって負けがこんでも1回の当たりで10万程度は取り戻しが効く、ということが体験として身に付いてしまいます。
逆に、これを体験していない人はあんまりのめりこまないように思います。
1円パチンコ
貸玉の上限金額は「4円」という規則があり、通常パチンコ屋さんはこの上限を採用しています。これについて、貸玉の金額を1円に設定した「1円パチンコ」が2007年頃より広まっています。
貸玉が1/4ということはもちろん出玉の交換も1/4(実際はそれ以下)なので、ギャンブル性が著しく低下します。実際のところ3箱4箱積んだところで3千円程度なのですからギャンブルしてる気にはなりません。(あくまで僕は・・ですが)
まぁ、「どうせ負ける」と考えればこれが健全でありましょう。
【STEP4】 儲かったカネをパチンコ資金にしてしまう
儲かった翌日が分岐点でもあります。
さっさとモノを買うなり家計に入れてしまえばいいのですが、サイフが分厚いと気分もおおらかになって多少の負けにも気前良くなってしまいます。あるいは儲かった翌日なんてのはイキオイがありますのでまたまた勝ってしまうことも多々ありますが、こうなると「ブチ込めば出る!」という強烈な錯覚を引き起こします。(まぁギャンブルでは「勝ったら続行」は鉄則ですが・・)
結局、大勝したカネは一時的にパチ屋から預かっただけに過ぎないことが数日後に連敗というカタチで証明されてしまいます。
この段階は単なる「おバカさん」であり、依存症=病気とは少し違います。
【STEP5】 借金する
負けが込むと大半の人は娯楽用途以外のカネをつぎ込みます。
初期の段階は昼食費などを削ってやりくりをしますが、それでも足らなくなると借金をします。
念のため書いておきますが、借金は何もサラ金で借りるだけとは限りません。身内のサイフや同僚からも、自分のカネでなければ皆々借金です。他の目的があって貯めている貯金に手を出すのも借金と同じ。
終わってるよ・・・・と思いますが、この段階でも次の収入まで禁パチを維持できれば病的にはなならないと思います。(毒抜きは必要ですが・・)
【STEP6】 借金でパチンコをする
借金してその足でパチンコをやるのはほぼ同一に行われますが、ここに一本の線が存在しています。
というのも、借金をする直前は猛烈な自己嫌悪に陥ります。(これは誰しもです)
『もうパチンコはやめよう』 あるいは 『小遣いの範囲だけにしておこう』
この反省を実行できれば病的にハマることは多分ないと思います。
つまり、反省を実行できなかった時点から依存症が始まります。
パチンコやるつもりで借金する人は既に病的では?? と思いますが、これは精神的な余裕か、あるいは単なる「パチ狂い」、はたまた「職業的」なのでここでいう依存症とは異なります。
【STEP7】 依存症
あとは繰り返しです。
たまたま「4」で儲けても借金を即返しする人は稀です。(不足した生活費分まで儲けようとして微勝ちした分をつぎ込んで負け分を増やすパターンがが殆ど)
自己嫌悪→借金→自制心を維持できず→負け→自己嫌悪→借金・・・・
最初の借金は世間的なブレーキがかかりますが、2回目からは慣れてくるので一気に加速します。
こうなると程度に関係なく第三者の助言や介在がないと止めることは難しいと思います。
依存中の精神状態
自己嫌悪→借金→自制心を維持できず→負け→自己嫌悪→借金→・・・・
なんて状況下におかれると何にしても投げやりな行動になってしまいます。
こういう状況だと、「もう、どうなってもいいや・・・」という自暴自棄な思考と共に脳ミソが溶けるような感覚に襲われます。(←だそうです)
具体的には、、、
最中では「行き着くトコまで行きますっ!」と思うようになり、
直後にはモノを考えたり行動する気力が無くなり、、
ってな感じになります。(←だそうです)
当然、シゴトも手に付かなくなりますし言葉も粗暴になってきます。(←そう見えます)
こういう精神状態で気持ちの切り替えをしようにもアタマがボーっとして何をするにも手に付かず、結局悪循環で状況は悪化の一途をたどってしまいます。
まぁ、この状態で理性を働かせようなんてのはムリというものです。
逆に、このような状況にも関わらずマトモな精神状態でいられるのは、ある意味では非常に意志強固な性格ともいえます。(決して良い意味だけとは限らない)
パチ依存の彼等彼女等は、パチンコで儲けて何をするつもりなのか?
このテの内容を取り上げるサイトにありがちなひとことですが・・・
パチンコで儲けたお金をパチンコに遣ってしまうような非生産的な行為はヤメなさい
といいたいのでしょうが、はたしてそれは的を射ているのでしょうか?
多分ですが、パチ依存の方々の目的は「儲けること」ではなく「高揚感」だと思います。
ここからは個人的な想像ですが、パチ依存の人が感じる高揚感とは・・
借金返済を迫られている逼迫間
負けてさらにかさんだときの絶望感
これらが蓄積した中で当たったときの・・
少しでも解消した瞬間の安堵感
今月も返済できたという達成感
が実際のところではないかと思います。
妙な表現ですが、ノルマに対して意欲が出てくるのはある種の人間の本能らしいですが、そういった意欲が強く出る人ほど「目標」を失うことに対する不安感も強いらしい。(←聞いた話ですが)
「借金があるほうが意欲が出る」というのは詭弁でもなんでもなく、自分に義務を課すことで意欲を奮い立たせる人間は確かにいます。
まぁ、パチンコでつくった「義務」でヤル気が出てくるってのはどうにも理解できませんが・・まぁ事実みたいです。
「依存症」と「行き過ぎた趣味」の境界
パチ依存は単なるギャンブル狂いではなく精神病の一種みたいです。
ギャンブルに否定的な人からすれば狂いも病気も同じに思えますが、まぁ、病気なのですから第三者による適切な対処と治療が必要なんだろうと思います。少なくとも自分の意思だけでは絶対に直らないと思いますし、パチ依存専門のカウンセラーも皆々同じ事を言います。
個人見解ですが、パチ依存の分岐点は先述STEP6の「反省」にあると思います。
病的になってしまうと自らの意思だけでは実行できなくなるので、そこに第三者の「力」が必要になるのでは? と思います。
聞くところによると3ヶ月パチ絶ちするとヤメられる(=興味が沸かなくなる)そうです。問題は、それが自分の意思だけでできるかどうかでありましょう。
パチ依存者との付き合い方
例えばですが、パチンコそのものが好きであれば、現金を賭けなくても愉しめると思います。
現金を賭けなくても愉しめる・・・・即ち、見てるだけや娯楽費の範囲で楽しめるなら、それは依存症ではなく趣味といえましょう。
酒やタバコ、あるいは競馬と同じくパチンコ自体はそれほど悪ではないと僕は思います。要は各々の付き合い方。
現金を賭けないと面白くない
・・・ならば、それはやはり娯楽ではなく勝負事として捉えています。
ギャンブルとしてのパチンコの本質は数の力によるパワーゲームです。それがわからずにハマってる気配があるのなら、力ずくでもヤメさせるべきだと思います。
ちなみにですが、僕は現金を賭けないと面白くない派です。
パチ否定人が依存症予備軍に接する際に知っておくべきこと
パチンコ・パチンコは絶対に勝てない
パチンコに否定的な人はこう思っている方が多いようですし、常識的に考えてもそうです。
しかしこれは誤りです。
パチンコやパチンコは機械の確率によるギャンブルですが、パチ屋はその確率によって経営をしているのですから、打ち手の側も一定の条件さえ満たせばほぼ確実に勝てます。つまり、労力さえ厭わなければパチンコで食うことは十分に可能だと思いますし、喰ってる人は実際にいます。
数字を転がすだけの非生産的な生業ともいえますが、それはネット株で遊んでいるデイトレーダーも同じことです。(合法的にメシを喰えるだけの収益を出している人を否定する気はないので念のため)
だから「勝てる」という意見が正しい、、、、
のではなく、勝つための「一定条件」をクリアすることが現実的には非常に難しいので結果として勝てていない。実際にパチスロで喰ってる人を見てみると、普通にシゴトをしている方がはるかにラクと思えるような労力を使っています。
少々妙な言い回しですが、作者が思う正しい諭し方とは・・・
- 遊び半分でパチ屋に行くな
- 具体的な勝算がないなら手を出すな
- やるからには真剣にやって確実に勝て
、、です。
バカにするように『勝てないからヤメな』というよりは、勝ち方のロジックを説明してあげて『それがアンタにできるの?』と言うほうが効果的と思います。
実際のトコロ、 ホントに勝っている人と話をしてみるのが一番良いと思いますがね(笑)
ホントに勝っている人ならきっとこう言う。
数字に弱い人が勝てるワケないっしょ?・・ってね
おまけな余談 2010年からはかなり急降下の予感?
30兆円産業を支えているのは、年間平均200万円も負けてるパチ依存の方と、それらに資金を提供するサラ金ヤミ金であることも事実です。
さてこの点について、2010年6月に貸金業法が改正され、対個人向けの融資に大きな制限がかかるようになりました。(総量規制) 要するに「パチンコ屋さんの良いお客」の資金源が断たれてしまうわけです。
「サラ金の総量規制でパチ業界大打撃!」・・・・な~んてことにならないよう、パチ業界の人も頑張ってもらいたいものです。