一本化と低金利

借金が苦しいので低金利に借り替えて一本化したい

借金に詰まっている人がよく言うコトバですが、真剣に考え出すとヤミ屋に喰われる原因にもなります。貸金業が借り入れ先の限定化を奨励していることは事実ですが、まずもって銀行を含めてまっとうな金融屋が対外的に「一本化」という語句を使うことはありません。

基本的に「一本化」とはヤミ屋さんの慣用句です。なのでかどうかは知りませんが、まっとうな金融会社がそういった商品をアピールするときは「おまとめ」という語句を使います。

借金一本化で300万、年利2%、担保無

慈善事業でない限り、それなりの利益を求めるのが商売であり経済活動です。

特に金融業は利己的にローリスクを追求する商売なので、こんなハイリスクな取引に応じる道理がありません。

300万の貸付リスクは一般サラ金の10倍

たとえば年利2パーの利率でお金が借りられるか?

いうまでもなく答えは「No」です。

中堅のサラ金を例に挙げますと、300億程度の貸付高をもっている業者は、一人あたり平均30万円前後として概ね10万人のお客さんを抱えています。仮に、その中の10人が返せなくなると300万の損害になります。

ところが先の「一本化」で一人あたり300万を貸したとすると、たった一人の貸倒れだけで300万の損害になります。1人あたりの「重さ」が中堅サラ金の10倍ということは、顧客管理や与信管理は中堅サラ金の10倍のリスクを背負うことになります。

この観点から考えると、ヤミ金の金利がサラ金の10倍というのは経済活動の基本には忠実です。

300万の2%貸は商売として成り立たない

仮にこれがまっとうだとしましょう。

一人あたり300万貸すわけですから10人で3000万、100人の顧客で3億の資金が必要になります。

3億の投資で年間に得られる利息収入は600万円

1年で1人貸倒れになると電話番のバイト代すら出ません。

そも、3億も投資できるヒトが年間600万の利益で満足できるとは思えません

3億投資して利益で600万で満足できるなら、僕なら貸金業をやるより銀行に預けます。その方がリスクは少ないし金利も高い。

こう考えると、サラ金よりリスクの高い相手にサラ金より安い金利で貸し付けることはありえないことはわかりますよね?

まとめのメリット

銀行系の大型融資の意図もおそらくは「一本化」にあると思います。これの本意は、「何らかの事情で増えてしまった正常な小口債権の数をまとめる」です。

正常な小口債権というのはつまりこう。

別にまとめなくても払っていけるが振込手数料がもったいない

借金の払い先をひとつにしたからといって、ラクになるのは入金の手間ぐらいなものです。

まぁ、「正常」な人ならこのメリットは大きいですがね。