給料未払い|クレサラバンク社会問題考察
以前に株式会社相手(サラ金じゃないよ)にケンカしたことがあり、参考がてら労働問題のサイトを覗いていたことがあります。
ここはカネ系のサイトなので、その中から給料未払い(賃金未払い)をとりあげます。(時間外手当の未払いはこちら)
今の時代、未払いの心配をしなくてもいい会社に勤務していることが既に恵まれている、、、、とまではいいませんが、不本意な転職をせざるを得なかった人たちにとっては非常に身近な問題になっています。
賃金の未払いは職場の問題ではない?
例えばクビになるなり放漫経営なりで給料がもらえなかったとします。
労働関連のサイトやFAQ掲示板では皆々揃って『労働基準監督署に訴えろ』とか『給料はどんな理由があっても払わなければならないので弁護士を絡ませて会社と交渉するべし』とか言ってますがこんなのは・・・
- 未成年は酒を飲むなタバコを吸うな
- 運転中にケータイ触るな
・・・・これで解決すりゃ世話はないです。
実際のところ、対処に困るような給料未払いの本質は就労上のトラブルではないので労基法とか社労士の出る幕ではありません。
労働上のトラブルとは、例えば「ミスやノルマの未達を理由に減給させられた」とかのような私怨やハラスメントによるものを言い、こういう場合は社労士などの出番です。
要点はゼニの回収であります。
個人的に会社からカネを獲ると、たとえ主張が正当であっても最終的にはその会社を去らなければならなくなります。法律が守れるのは名刺の肩書きだけで職場の空気までは守れません。善悪関係なく調和を乱す者を許さないのが組織の本能です。
会社からカネを撮るのは「覚悟」というエネルギーが要るわけで、理屈では簡単でも実際にできるかどうかはその人次第であることを忘れないでください。
給料未払いは支払督促でさっさと回収
で、給料の取り方ですが、実際のところ普通の貸金と大差ありません。
というのも給料は「債権」であり、それの未払いは会社側の債務不履行です。相手が法人化された会社で倒産していなければ、簡易裁判所に支払督促を申立てればカンタンに回収できます。(相手にカネがあれば、、ですが)
個人間貸借では散々に否定している支払督促ですが、個人が言うところの「カネがない」と会社がいう「カネがない」は「ない」の意味がかなり違います。一部の経営者の方には暴言になってしまいますが、我が身を守る執着心は労働者よりも経営者の方がはるかに強いので、会社(経営者)が言う「カネがない」は文無しであるとは限らないわけです。
と、少し逸れましたが、要は、支払督促は払い渋りに対して非常に効果があります。
通常の借金と違う点は・・
- 利息 (在職中=年6% 離職後=年14.6%)
- 債権明細の種類(タイムカード写し・給与明細)
申立書の書き方は裁判所で教えてくれますし、一般の民事訴訟と違って簡単に書けます。2001年から書式は「A4横書き」と「必要項目」さえ守れば他の制約というのがなくなったので一層気軽に利用できます。
時間的にみると通常は1~2ヶ月で確定し、支払先に銀行口座を指定しておけば自動的にお金は振り込まれます。(相手がそこに振り込むのですが)
相手が異議申立をしない限り裁判所に行く必要もありません。費用についても請求金額に応じた印紙代が必要ですが、それも5,000円もあればおつりがきます。しかもそれは請求金額に含める事ができますので実質タダです。
ちなみに弁護士は必要ありません。
さらにというか、わずかですが利息が取れますので多少は溜飲も下がるでしょう。
タイムカードと就業規定
やる前には文書で請求書を出しておくべきです。
債権明細が整っているなら出さなくてもかまわないのですが、社会人のマナーとして文書請求はやっておくべき。
内容証明にこだわる必要はないと思いますが、自身の自覚のために使うのもよいでしょう。但し、1度送って無視されたら次からは内容証明です。
債権明細にあたる資料はタイムカードの写しくらいしかありません。特に利息をとる場合は給与支払日の証明は絶対に必要です。
これがないと申立書が書けません。
仮にこれが無い場合は会社の給与規定と直近3ヶ月くらいの給与明細や支払い履歴(銀行口座等)が請求の根拠となりますが、こうなると専門家をいれないと難しくなります。未払いをする会社が社員の言うことを聞くわけがありませんからね。
退職金については賞与規定や退職金規定に沿って支払われますが、全部の会社にそういう規定があるとは限りません。極端な話、例えば支給する実績があっても支払規定がない会社は経営者のご愛嬌で支給しているに過ぎないので請求権は限りなく存在しません。
しかしこの規定、特に退職金規定は生命保険や担保保障の審査資料にもなるので経営者の個人的理由で作成していることが多々あります。(監督署や保険関係者複数より確認)
あと、会社を訴える場合のほとんどは法人格が相手になるので資格証明という書類が必要になることがありますが、これは実際に申立書を提出する際に詳しく教えてもらえます。
いい加減な会社ほどすぐ獲れます
未払給料でカンタンに回収できる事例は、
- 零細のワンマン経営
- ドンブリ勘定の放漫経営
など、経営者が給料の未払いを軽く考えている場合のみです。
悪意を持たない給料未払の案件はほとんどがこれのいずれかか、あるいは深刻な経営不振です。加えて書けば、当サイトを見ている人の多くはいずれかに当てはまっていると思います。
その上でリアルを言いますと、おそらくは裁判所を通さなくても口頭だけで回収できると思います。
なぜなら・・・皆さんはシャチョウにナメられてるだけだから。
「軽く考える」とは主観が混じる表現ですが、会社にとって従業員の給料は最も優先順位の高い支払い先です。給料を払わず会社が存続しているのは本来ありえない姿といえます。
困窮や道義を感情や暴力に訴えてもビジネスの世界では意味がないですが、払わなければ法的な制裁を加える具体的な用意があるという意思が伝われば、アナタの分くらいは身銭を切ってでも払う可能性は少なからずあります。
それで絶対に払うとは言い切れませんが、そうなったらなったで今度はそれを裁判所に訴えればいいわけです。法律屋さん風に言えば、紙の脅しが現実になるってところです。
いい加減な会社でない会社=悪意的な未払い
悪意をもった未払いは法律を逆手にとった意図的なものなので、僕を含めてシロウトさんや正義感だけで現場を知らない若手の社労士が太刀打ちできるとはとても思えません。
意図的な場合は弁護士に依頼したほうが良いでしょう。
ちなみに悪意的でもなくいい加減でもない会社は?となりますが、そういう会社は給料未払いなんてしません。
ドライかつ素早い対処が重要 カネ貰えるうちに辞める!
やや暴言混じりですが、何を考えてか給料を払わない会社に勤務しつづける人はたくさんいます。
多分ですが、このページを見ている人の8割はそんな人だと思います。
まがりなりにもその会社でがんばって働いてきた人なのでとやかく言う筋合いではありませんが、給与未払いの状況を客観的に考えるべきです。
「労働の対価を支払わない=罪悪」ですが、それ以前にそういうのは「隷属関係=ドレイ」というものであり、それを認めてなおその関係を継続しようとしているのが今のアナタであり、第三者がそれを見れば誰しもがそう思います。
人それぞれ複雑な事情があることは理解できますが、それとコレとは別。
顧客の義理がらみで仕事を続けなければならないとするならそれは自宅に持ち帰って自分でやるなりすればいいだけのことで、「仕事をする」ことと「会社に居る」ことはまったく関係ありません。
遅配を甘く考えてはいけない
「資金が間に合わなかった」となると誰しも深刻に考えますが、「うっかり忘れていた」となると水商売や土建屋などは「社長~しっかりしてよ~(笑)」で流してしまいます。
社風は興味外ですが、少ない社会経験からでもハッキリ言えます。
- 給料を遅配する社長に経営者の資格はない
- 給料の遅配を笑って流せる社員はロクな仕事をしていない
尊敬に値する立派な人物でも経営者としてふさわしいかどうかは別問題です。
大袈裟ではなく、1日でも給料を遅配されたら即座に離職を考えるべきです。
ちなみに給与遅配理由の離職は「会社都合」で認められます。
2日遅れたら社長と言えど請求すべき
たった2日くらいで大げさな・・・・という考えが大甘です。
うっかりしていたのなら取締役全員が自腹で払えばいいだけのことであり、給料とはそれだけ重いのです。
未来のある会社だとしたら、遅配の請求をすれば社長はアタマを下げて謝罪してくるはずで、間違っても立場が悪くなるなんてコトはありえません。立場が悪くなるのはつまり、カネが無いので請求する人が敵に見えるわけ。
既に資金繰りにリーチがかかっているといえます。つまり「時間の問題」なレベル。
今後も毎月給料日には同じことが繰り返されて、まもなくドロンとなるのは目に見えています。
1週間遅れたら出社拒否
1週間経過しても給料が支払わなければ迷わず出社拒否をするべきです。
ただし出社拒否は業務放棄ともとれるので必ず前日の終業時に出社拒否する旨を伝えておく。
- 理由はひとつ→給料の支払いがあるまで自宅待機をする
ちなみにこの期間は欠勤扱いになりません。これは「会社指示の自宅待機命令」と同等の扱いになる(※下記注)ので仮に復職した場合は本給の6割は保証されます。
本来は経営者の側から「経営上の都合で指示があるまで自宅待機して欲しい」です。文中の内容は「経営所の都合=一時的に給料が払えない」「指示があるまで=給料を払うまで」とし、それを経営者に認めさせることで有効になります。
一方的に言うだけでは単なる欠勤です。
と、ここまではタテマエであり、その真意は次のとおり。
出社拒否の意思表示をすると、おそらく解雇を宣告されると思います
実はこれがしめたもので、即刻クビを宣告されたら給与1ヶ月分が解雇予告手当として即時に貰えます。(=請求権が手に入る)
結果、売りコトバに買いコトバで給料とは別の請求権が手に入るわけです。
このあたりもややこしい法律があります。
例えばですが、会社側が「解雇」というコトバを言う前に退職の意思表示をすると自主退職として扱われます。
要は駆け引きです。
何のためにこんな余計なことをするのかといいますと、こういう状況になるとアナタは他の従業員よりひとつ多く請求権を持っていることになります。
債務者である会社としては、アナタという債権者は他の債権者(従業員)よりもうっとうしいので早く解決したいと考えます。
これで回収が容易になります。
解雇予告手当の請求は決して溜飲を下げる目的ではありません。既に回収競争は始まっているのです。
念のため書いておきます・・・・・
クビになったら困る・・・なんて思ってないですよね?
クビだろうが自主離職だろうが、とにかくその会社とは決別すべきです。この期に及んで在籍し続けようなんてのは、、、救いようがないです。
でもって、出社拒否している期間は何をするべきか?
職安です!
職安に行って再就職先を探し、これから何枚いるか知れない履歴書を今のうちに準備しておくのです。
同業他社に顔が利くなら雇ってもらえないか相談するのもアリ。
但し、未払いの事実を言いふらすのは社会人として許されない行為なのでそれはナシですよ。
1ヶ月遅配
アナタの思考を疑います。
責任感ですか? お客さんへの義理ですか? 楽観的希望ですか?働く目的は何なのでしょう・・・・・ 趣味ですか?
そんな会社に行くヒマがあるのなら職安に通え、職業訓練を受けろ、履歴書を書け、と言いたい。
遅配2~3ヶ月でようやく考え始める方もいらっしゃいますが、能天気以外の何者でもありません。
ドライかつ素早い対処が重要 カネ貰えるうちに辞める!
行動のタイミングですが、会社が倒産してからでは既に手遅れです。
管財人が入るような会社でしたら特に何もしなくても良いですが、問題は「キチンとしていない会社」。他の債務の優先順位にかかわらず給料は最優先で払われるものですが、バンザイということは会社だけではなく社長個人も破産してしまったということであり、そうなると請求先が無くなってしまいます。(※下記注)
- 経営者は「会社」の債務を負う必要はないが、悪質なものでなければそれを主張するケースは少ない。つまり、有り金の全てを強い債権者に持っていかれる
- 小規模でオーナ社長の会社ほど経営者は「会社」に対する愛着が強く身銭を切って守ろうとするので、結果的に会社がツブれるときは自身もツブれるケースが多い。
悪質な計画倒産はあっというまにツブれるのですが、放漫経営のドンブリ勘定はなかなかツブれません。
必ず前兆があり、それが給与遅配なのです。
会社の倒産整理に付き合っているヒマはない
給与所得者(サラリーマンやパートさん)は会社で波風立てない方が結果的にはうまくいきます。ですが、それは給料が支払われるまで黙っていることとは全然違います。
くだらない会社で揉めているヒマがあったらさっさと貰うモノ貰って就職先探そう
とは言え、今のご時世、なかなか再就職なんかできません。
それが大部分の方を躊躇させる理由と思うのですが、今貰うべきものが後になってもらえる保障はないです。
おまけ・・・給料が払えない経営者どの
・・と思われる方からもご意見が来ています。暴言もあれば言い訳がましいのもありますが、概ねはこんな感じです。
『払えれば払っているよ。経営の苦労も知らず偉そうなことをいうな』
そりゃあ、その方の苦労は知りませんが、経営がどうのという問題ではないです。経営者としては頑張っているのかもしれませんが、給料を払わない人が従業員を雇う資格なんてありません。
なんか間違ったコト言ってますかね??
2010年時点では一応僕も会社経営者であります。従業員1人雇うことがどれだけ大変かは少しはわかるつもりです。
給与未払いの実態や鬱憤を掲示板で語ろう!
給与未払いについての専用スレッドを設けましたので意見交換やストレス解消などにお役立てください。
但し、このスレッドにはルールがあります。
書きこみできる方は当事者のみです(立場を明記してください)
- 「給料」を未払いされている方 あるいはされたことがある方 ※「売掛」はNG
- 従業員を雇っている方
OKなこと
- 未払いの状況や実況
- 未払い請求実行の経過報告
- 参加者同士の相談やキズの舐めあい
- 愚痴(気分が晴れるなら存分にどうぞ)
NGなこと(不定期に予告無く削除します)
- 当サイト作者に意見を求めること
- 第三者の意見
- 特定の社労士や行政書士等を紹介する内容
- 個人が特定できる内容の記述(IPログとってますよ)
- 未払いをしている会社の名前の記述(書かずにおれなくても地域名や業種名くらいにしておきましょう)